会長ごあいさつ

ロイヤルグループだからこそ提供し得る価値を大切にしながら、
あらゆるステークホルダーの皆様のご期待に、
これからもお応えしていきます

不確実性の高い事業環境下での確実な一歩

中期経営計画2022〜2024の初年度に当たる2022年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大やロシアによるウクライナ侵攻など、不確実性の高い1年でした。しかし、下期よりロイヤルグループの経営環境が好転し、一定の成果を上げられた初年度であったと評価しています。コロナ禍であらゆる事業が多大な打撃を受け、2期連続で大きな赤字を計上した当社にとっては、2022年度にV字回復を遂げることは必須であり、まずそれを実現できたことは、確実な一歩であったと考えています。一方で、エネルギーや食料価格を中心とした物価の高騰や人手不足の問題については、引き続きグループを挙げて適切な対応策の構築とその実行を図っていきます。

 ロイヤルグループは、各事業固有の変動要因によるリスクの影響を最小化するために、コロナ禍以前より事業の多角化を進めてきました。しかし、今までうまく機能していたポートフォリオも、コロナ禍のような社会全体を揺るがす大きな波には対応ができず、その結果、あらゆる事業が大きな影響を受けました。このような事態の再発を防ぐためには、ポートフォリオを元に戻すのではなく、進化させる必要があります。具体的には、以下の3つの視点に基づき、ポートフォリオの進化を推進しています。

1. ポートフォリオ自身の進化

ロイヤルグループの全事業がコロナ禍で壊滅的な影響を受けた理由は、事業内容は分散していたものの、「人流依存」という本源的リスクが共通であったからだと考えています。そこで、人流に依存しない事業をポートフォリオに包含し、非人流依存ビジネスの構成比を高めるというのが1つ目の視点です。具体的には、フローズンミールを販売する“非施設型事業”である「ロイヤルデリ」の成長が該当します。

2. ポートフォリオの構成事業の進化

2つ目の視点は、ポートフォリオを構成する個別事業自体を進化させることにより、ポートフォリオのレジリエンスを強化するというものです。当社グループの事業には「立ち寄り型」施設が多く含まれており(ホテル、高速SA、空港レストラン等)、人流が途絶えた場合、手を打つことが困難となる施設の比率が高いことが課題です。この問題を解決するためには、これらの事業を「立ち寄り型」から「目的訪問型」に変える必要があり、ロイヤルホストの付加価値戦略や東京都・押上にあるリッチモンドホテルの改装などがその取り組みに該当します。

3. ポートフォリオの有機的一体化

3つ目はポートフォリオを有機的一体として融合することで、顧客価値の増大に結びつけようという視点です。従来のポートフォリオ経営はリスク回避の視点に重きをおいてきましたが、それを顧客価値向上のために活用することが今後は必要不可欠と考えます。ロイヤルグループの拠点は多くの方にご利用いただいており、そこで得られる情報を、個別事業の枠を超えて活用すれば、顧客満足度のさらなる向上につなげられると考えます。現在当社で進めている顧客IDの統一によるCRM構築が、その取り組みに該当します。

「守り」から「攻め」の時代へ

諸物価の高騰など、現在起きている外部環境の変化は一時的なものではなく、構造的な変化と捉えて対応策を講じることが重要と考えています。しかし、一企業内だけでの努力には限界があり、他社との協働など広い視野での対応が必要となります。当社は2021年3月に双日(株)と資本業務提携契約を締結し、多くの領域でサポートをしていただきながら、事業を遂行してきました。特に原材料の高騰の影響などを乗り越え、2022年度に黒字転換できたのは、双日(株)との提携があったからこそと考えています。2023年1月には、双日(株)と共に、カフェ事業の運営・展開を目的とした合弁事業会社双日ロイヤルカフェ(株)を設立しました。加えて、2021年8月にシンガポールに設立したRoyal Sojitz International Pte. Ltd.と、シンガポールで天丼てんやを運営するYOTEI PTE. LTD.との間で合弁契約を締結し、海外での直営事業基盤の確立を目指しています。2022年度まではコロナ禍の影響が大きく、「守り」の提携効果が中心でしたが、今後はこのような「攻め」の提携効果の発揮に期待しています。

従業員の成長は会社の成長

私たちのようなサービス産業は、人的資本、すなわち従業員が直接的にお客様にサービスを提供することで価値を生み出しています。そのため、人的資本への投資は企業の持続的成長に必要不可欠です。しかしながら、長きにわたりデフレが続いたことによって、私たちは人件費というコスト面ばかりを注目し過ぎてきたという反省があります。だからこそ、従業員の成長が会社の成長であるという本来の人財価値の在り方に、今一度立ち返ることが重要です。加えて、人口減少が進む現在において、人的資源は今後長期的に枯渇することが予想され、「人が担うべき役割とは何か」が問われていることも事実です。そこで、人財投資にデジタル・テクノロジーを積極的に活用し、サービス提供者である従業員が、より余裕を持って顧客の求めるサービスを提供できる環境を整えていきます。

“食”&“ホスピタリティ”で果たすロイヤルグループの存在意義

かつて多くの企業が自社の方針を「ビジョン」として語っていましたが、現在では「パーパス(存在意義)」という形で方針を示すように変化してきました。この背景には、規模の成長のみを志向する方向性に対する反省があるのではないかと感じています。本来有限性を前提とする資本主義がいつの日からか無限性を前提にし始めたことから、果てしない増殖活動が進められてきました。しかし、企業が環境問題や資源の枯渇、人財確保の困難に直面し、改めてその有限性に危機感を感じ、自社の存在意義を自問自答することが、パーパスという言葉の一般化につながっているのではないでしょうか。

 私たちロイヤルグループは“食”&“ホスピタリティ”を基軸に事業を展開しており、まさしくその存在意義が問われたのがコロナ禍でした。コロナ禍が終息に向かう今、人々は本来の活動を再開し、リアルに人と会い、話し、食事を共にするという日常が戻りつつあります。その一瞬一瞬において、当社が美味しい“食”&“ホスピタリティ”でお客様をおもてなしすることができれば、私たちの存在意義が認められると考えます。ロイヤルグループだからこそ提供し得る価値を大切にしながら、あらゆるステークホルダーの皆様のご期待に、これからもお応えしていきます。

代表取締役会長 菊地 唯夫

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中期経営計画2022~2024
~「再生・変革」から「成長へ」~