ロイヤルグループサステナビリティ
ロイヤルグループが目指す価値創造
- ロイヤル経営基本理念を礎に、ステークホルダーとの良好な関係性を尊重し、社会価値の創造を通じて永続的に存在を認められる企業グループ
- “食”&“ホスピタリティ”の提供を通じて、無形の財産と人気の蓄積を確保し、経済価値の創造を果たし企業価値向上を遂げる企業グループ
観点
サステナビリティ経営の推進に向けて
ロイヤルグループのマテリアリティ
マテリアリティ(重要課題)
ロイヤルグループの事業およびステークホルダーの双方の観点から、様々な社会課題の重要度を調査・検討し、2023年2月に5つの重要課題(マテリアリティ)を特定しました。今後は、ステークホルダーの問題意識を十分に踏まえつつ、グループ全体での活動を推進し、サステナビリティ経営の浸透と深化のプロセスを歩んでまいります。
マテリアリティ特定に向けたプロセス
ロイヤルグループが取り組むべき社会課題の抽出
多様な社会ニーズ・要請に対応するため、社会の期待、お客様や取引先ほかステークホルダーごとの重要課題から社会課題を選択。ロイヤルグループの事業領域やお客様層を考慮し、取り組むべき68項目の課題を抽出しました。
重要度測定・重要課題の特定
抽出した課題について、事務局メンバー、外部有識者とともに課題の重要度を測定しました。また経営陣によるディスカッションを実施し、事業視点からも重要度を測定し、「ステークホルダー」と「自社課題」の2軸で取り組むべき重要課題を特定しました。

マテリアリティの特定
取り組むべき重要課題を5つの観点に絞り込み、重要テーマを踏まえたマテリアリティ(案)を整え、有識者との意見交換を重ねました。
また、執行責任者が集う戦略会議や、社外取締役が出席する経営会議、取締役会での審議および、取締役会での決議を経て、ロイヤルグループが取り組むマテリアリティを特定しました。
観点 | 重要テーマ (ESG推進の観点) |
マテリアリティ | SDGs目標との関係 |
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人財 |
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従業員の成長を第一に、健全な労務・職場環境の維持向上、ダイバーシティ&インクルージョンの浸透、人財への積極投資を推進する |
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“食”&“ホスピタリティ” |
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食の安全・安心を最優先し、また健康への配慮や食品サービスの付加価値向上に注力し、明るい社会を創造する |
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資源・環境 |
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食品廃棄物の削減とリサイクル活用を推進する仕組みの実現、及び省エネルギー施策の継続により、CO2排出量削減を推進する |
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地域 |
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多様化する地域・社会のニーズに合わせた社会貢献活動を推進する |
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ガバナンス |
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食品調達・商品表示・情報管理において信頼を得られる体制を構築し、ステークホルダーとのエンゲージメント強化を図る |
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マテリアリティの下での取り組み
マテリアリティと2024年度目指す姿
観点 | マテリアリティ | 2024年度“目指す姿” | 目標(定量・定性) |
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人財 | 従業員の成長を第一に、健全な労務・職場環境の維持向上、ダイバーシティ&インクルージョンの浸透、人財への積極投資を推進する | 人材の確保・育成・働く環境の整備に積極的な投資を行い、業界をリードする、従業員から選ばれる企業 |
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“食”&“ホスピタリティ” | 食の安全・安心を最優先し、また健康への配慮や食品サービスの付加価値向上に注力し、明るい社会を創造する | 企画・開発・営業まで一貫して高い質を提供し続けている企業 | ー |
資源・環境 | 食品廃棄物の削減とリサイクル活用を推進する仕組みの実現、及び省エネルギー施策の継続により、CO2排出量削減を推進する | 環境に配慮する意識を持ち続け、食品廃棄ロスの削減、および脱炭素社会への取り組みを推進できている企業 |
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地域 | 多様化する地域・社会のニーズに合わせた社会貢献活動を推進する | 地域社会・経済との連携を深め、地域にとってなくてはならない存在であり続けている企業 | 食育・教育・復興支援など、取り組みの継続性と社会環境の変化に合わせた CSR 活動推進 |
ガバナンス | 食品調達・商品表示・情報管理において信頼を得られる体制を構築し、ステークホルダーとのエンゲージメント強化を図る | ステークホルダーの評価を得られるグループ・ガバナンス体制を継続的に維持している企業 |
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サステナビリティ経営の取り組み体制
- 【サステナビリティ推進委員会での審議事項】
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- サステナビリティ基本方針やマテリアリティの策定・見直し
- 取組むべき実践上の課題であるマテリアリティに係る戦略および施策の策定
- 目標に対する進捗管理
- 気候変動対応の審議および決定
- ステークホルダーに対する情報開示
- その他、サステナビリティ経営に必要な対応
マテリアリティの下での取り組み施策
観点 | 取り組み施策 | リスク | 機会 |
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人財 |
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“食”&“ホスピタリティ” |
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資源・環境 |
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地域 |
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ガバナンス |
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人的資本への積極投資
ロイヤルグループの人材戦略
ロイヤルグループでは「従業員の成長」=「会社の成長」と考えており、すべての人材は付加価値を生む源泉であると捉え、人材の確保・育成・働く環境の整備を最重要課題として積極的な人材投資を行っています。
現中期経営計画においては、「日本で一番質の高い"食"&"ホスピタリティ"を提供するために、進化し続けるプロフェッショナル集団」を目指すべき姿として掲げ、4つのVを柱とした人事戦略を策定しています。
2023年度の投資実績としては、基本給一律増による6.8%のベースアップに加え、階層別の教育研修体系を整備することで、前期比で約4倍の研修人材投資を実施しました。これにより、毎年実施している従業員満足度調査結果の「給与・処遇」「教育研修」に係るスコアが改善しました。2024年度も継続的な人材投資を行うことで、従業員の成長が会社の成長につながる好循環を創り出していきます。
現在、日本全体で労働力不足が顕著になっており、ロイヤルグループにおいても人材の採用・育成・定着は大きな課題です。今後、海外事業の拡大も含めた持続的な成長を図っていくため、新卒採用だけではなく、グローバル人材やシニア人材、地域や労働時間を限定して働く方など、多様な人材が成長し活躍できる環境整備を進めることで、お客様だけではなく従業員にも選んでいただける企業を目指していきます。

執行役員
システム・DX推進、人事企画担当(兼)ロイヤルマネジメント株式会社代表取締役社長
大坂賢治
基本的な考え方
私たちロイヤルグループは、すべての人材は付加価値を生む源泉であると捉え、人材の確保・育成・働く環境の整備を最重要課題として、積極的な投資を行います。また、労働市場における外食産業の地位向上を目指し、業界をリードする存在となります。
人的資本投資にかかわる基本方針
- 全ての人材は付加価値を生む源泉であると捉え、人材の確保・育成・働く環境の整備を最重要課題として、積極的な投資を行う
- 労働市場における外食産業の地位向上を目指し、業界をリードする存在となる
将来ビジョン
- ロイヤル経営基本理念
- 人的資本投資にかかわる基本方針
- 人材育成方針
- D&I推進宣言
- ロイヤルグループ
健康経営宣言
- 人的資本投資にかかわる基本方針
人材育成方針
日本で一番質の高い"食"&"ホスピタリティ"を提供するために、進化し続けるプロフェッショナル集団
D&I推進宣言
- すべての従業員が、お互いをリスペクトし、公平に接する環境を整備します。
- 経営陣・管理職が模範となり、率先して多様なバックグランドを持つ従業員をサポートします。
- 社内でのコミュニケーションや啓発活動を通じ、多様な視点や考え方を尊重する文化を醸成します。
- 安全で快適に仕事に取り組めるように、ハラスメントや差別のない職場環境を作ります。
- 異なる背景や経験を持つ人材を積極的に採用し、公平な採用・教育・昇進の機会を提供します。
ロイヤルグループ健康経営宣言
従業員の健康は、ロイヤルグループの重要な資産です。
従業員とその家族の一人ひとりが、心身ともに健康な生活を送ることが、「生き生きと働ける職場」をつくります。
ロイヤルグループの持続的成長に向けて、従業員の健康維持・増進に取り組みます。
中期経営計画2022~2024
中期経営計画2022~2024においては、目指すべき姿として「日本で一番質の高い“食”&“ホスピタリティ”を提供するために、進化し続けるプロフェッショナル集団」を掲げ、4つのVを柱とした人事戦略を策定しています。
重点施策と目標
中期経営計画においては、以下の項目を重点施策と定め、目標達成に向けて取り組んでおります。
Variety女性の活躍推進【働きがい】
ロイヤルグループでは働く女性の個性と能力が十分に発揮できる企業を目指します。まだまだ古くからのジェンダー間ギャップが残る状況は否めません。これまでの慣習にとらわれることなく、未来を担っていく女性の力を引き出していく取り組みが行われています。
- 新任女性管理職に対する教育研修、
メンター制度導入 - 女性管理職者対象
健康管理アプリの導入 - オンライン診療サービスの導入
- 妊婦社員の健康管理ツールと
専用相談窓口の設置

Variety両立支援【働きやすさ】
仕事に一生懸命取り組みながら、自分のプライベートを大事にする社員をロイヤルは応援しています。ワークライフバランスをうまく取れるような環境づくりが求められています。特に育児に関しては、男性の育児休業取得推進が数年で急増し、会社の雰囲気醸成が進んでいます。
- 男性の育児休業取得推進
- 仕事と家庭の両立支援窓口開設
- 育児休業復帰前面談、
オンラインパパママ会の実施 - 男性育児休業取得人数:13人
- 育児による時短勤務取得人数:29人

Variety多様性推進【働き方・人材】
様々な背景を持つ従業員が一緒に働くことでイノベーションが生み出されます。それぞれの持つ強みや個性、そして成長意欲を引き出しながら、共に未来のロイヤルを創ることを目指します。
- 支援学校実習の積極受け入れ
(2023年度7校9人) - 特定技能実習外国人材の積極採用
- 外国人社員比率:4%
- LGBTQ理解のための研修

2015年6月 | 2016年6月 | 2017年6月 | 2018年6月 | 2019年6月 | 2020年6月 | 2021年6月 | 2022年6月 | 2023年6月 | |
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雇用率 | 2.25% | 2.37% | 2.53% | 2.59% | 2.65% | 2.68% | 2.76% | 2.69% | 2.61% |
雇用数 | 151名 | 158名 | 169名 | 167名 | 166名 | 171名 | 141名 | 136名 | 154名 |
Value教育研修体制の整備と人材育成に向けた取り組み
ロイヤルグループでは、階層別の教育研修体系を整備し、等級ごとに必要とされる知識・技術を習得するとともに、上位職にチャレンジするために視座を高めることを意識した研修を推進しています。
Value次世代経営幹部候補研修
グループの部長職を対象に「意思決定」(2023年)「戦略策定」(2024年)をテーマとした研修を実施しました。知識・スキルの底上げを図るとともに、研修受講者の中から選抜した人材を社外研修に派遣し、幹部候補としてさらなる研鑽を積む機会を設けています。

Value新任女性管理職研修
直近1年以内に管理職に昇格した女性を対象に「リーダーシップ」「コミュニケーション」をテーマとした研修を実施しました。参加者同士のネットワーク構築にもつながっており、参加者からは「次回の研修が楽しみだ」といった声も聞かれました。

Value管理職候補者研修
次世代の管理職を目指す中堅社員を対象に、視座を高め視野を広げることを目的とした研修を実施しました。参加者のうち女性が約30%を占めており、女性管理職候補の育成も進めています。

Vitality健康経営の取り組み
ロイヤルグループは2022年6月に健康経営宣言をおこないました。代表取締役社長をトップとした健康経営推進体制のもと、各事業会社および健康保険組合・労働組合とも協力し、様々な施策に取り組んでおります。
ロイヤルグループ
健康経営宣言
従業員の健康は、ロイヤルグループの重要な資産です。
従業員とその家族の一人ひとりが、
心身ともに健康な生活を送ることが、
「生き生きと働ける職場」をつくります。
ロイヤルグループの持続的成長に向けて、
従業員の健康維持・増進に取組みます。
ロイヤルグループ健康経営推進体制
重点取組事項
- 定期健康診断の100%受診
- 二次検査受診率の向上 (目標70%)
- 特定保健指導受診率の向上 (目標45%)
- ストレスチェック受検率の向上(目標80%)
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
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1.健康診断受診率 | 100% | 100% | 100% | 97.7% | 97.8% | 100% | 100% |
2.健康診断有所見率 | 65.1% | 64.7% | 67.1% | 70.3% | 72.5% | 74.7% | 66.0% |
3.二次検査受診率 | 69.0% | 76.3% | 85.0% | 61.5% | 58.8% | 60.7% | 51.5% |
4.喫煙率 | 32.6% | 31.2% | 29.4% | 26.7% | 26.2% | 26.8% | 25.0% |
5.ストレスチェック受験率 | 89.8% | 84.3% | 82.2% | 79.7% | 84.1% | 77.4% | 73.7% |
6.ストレスチェック高ストレス率 | 16.9% | 16.8% | 17.7% | 12.4% | 14.8% | 18.7% | 12.0% |
健康経営管理会計

ロイヤルグループの気候変動への対応
ガバナンス
サステナビリティ基本方針の構成要素のうち、気候変動をはじめとした環境課題へ向き合うことは、この分野で新たな取り組みにチャレンジし、社会から必要とされる企業へ進化することにつながると考えています。気候変動に関する課題の審議・検討はサステナビリティ推進委員会が行い、取締役会への提案・報告を定期的に実施することで、気候変動対応の全社的な経営戦略への統合を図っています。
気候変動に関するガバナンスおよびリスク管理体制
戦略
ロイヤルグループでは、企業の持続的成長がすべてのステークホルダーに対する責務であるとともに、世界規模での取引が必須である現代において、地球全体の持続的成長を果たすため、私たちが直面する社会課題の解決に取り組むことも重要な責務であると考えています。
また、気候変動をはじめとした環境課題へ向き合うことは、その方針を構成する重要な1要素であり、この分野で新たな取り組みにチャレンジすることで、社会から必要とされる企業へ進化すると考えます。当社グループとそのサプライチェーン全体における影響の特定評価と対策の検討にあたっては、TCFDのフレームワークを活用した気候変動リスク及び機会の特定及び対応策の策定と経営戦略への統合が、企業価値向上だけでなく地球全体の持続的成長に資するものと考え、TCFD提言に即した情報開示を進めています。
今後もシナリオ分析を通じた当社グループの気候変動課題に対するレジリエンス性の強化を図ると同時に、持続可能な社会の実現に向けて貢献していきます。
① シナリオ分析
当社グループでは、気候変動による影響やその対策方針が不透明な将来における影響を特定評価するにあたり、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表するシナリオをベースに、地球温暖化が深刻化する世界及び、脱炭素化への移行が推進され2050年までにカーボンニュートラルが達成されるとした世界の、以下2種類の仮説を設定し、それぞれの前提条件を踏まえた2030年時点における分析評価を実施しています。
4℃シナリオ | 1.5℃シナリオ |
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地球温暖化が深刻化する世界を想定したシナリオ。産業革命期の世界平均気温と比較して21世紀末までに世界平均気温が4℃上昇する。気候変動政策は2021年時点で施行されている規制以上に強化されず脱炭素化への移行は推進されないため、温暖化の影響が拡大し災害の規模や頻度が拡大する。 | 脱炭素化が推進される世界を想定したシナリオ。産業革命期の世界平均気温と比較して21世紀末頃の世界平均気温の上昇が2℃未満に抑制される。カーボンニュートラルの実現に向けて、積極的な環境政策が推進されるために移行リスクによる影響が拡大する。 |
(参考シナリオ) IPCC:RCP8.5 / 4.5 IEA2021:STEPS |
(参考シナリオ) 【2℃シナリオ】 IPCC:RCP2.6, IEA2021:SDS 【1.5℃シナリオ】 NZE2050 |
② リスクと機会
4℃シナリオ | 1.5℃シナリオ(一部2℃シナリオも併用) |
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(イ)リスク 4℃シナリオにおいては最も大きな影響として、洪水や気温上昇をはじめとする異常気象災害の激甚化による自社施設の被災や物流網の断絶といった直接的なリスク、原材料の収穫量減少や品質低下、内食需要への傾倒による人流の減少といった間接的なリスクが想定されます。また、エネルギーの観点では化石燃料需要が成り行き的に拡大することなどを背景に原油価格が高騰することで、石油由来商品の価格上昇や輸送コストの増加を予測しています。 |
(イ)リスク 1.5℃シナリオ(一部2℃シナリオも併用)では脱炭素化に向けてカーボンプライシング制度の導入や再生可能エネルギー由来電力への転換による電力価格の高騰など、事業運営コストの増加が予測されます。また、業界内競争に追いつくためのエシカル消費メニュー開発や省エネ化・脱プラスチック化といった環境配慮ニーズへの対応コストの増加や、その取り組み状況による顧客離れも予測されます。 |
(ロ)機会 こうした影響はお客様においても想定され、中食・内食需要への傾倒など、行動変化があると想定しており、テイクアウト/デリバリーサービスをはじめとした新たなニーズへの対応が新たな事業機会獲得にもつながるものと認識しています。 |
(ロ)機会 このような環境志向の高まりはプラントベースフードをはじめとした代替食材への需要増も見込まれるほか、新たな顧客行動の変化に対応するサービスを展開することで新規顧客獲得につながる可能性も認識しており、リスク緩和だけでなく脱炭素化の推進による機会拡大が重要課題の1つとなることを認識しています。 |
財務面の考察
当社グループでは、気候変動による影響やその対策方針が不透明な将来における影響を特定評価するにあたり、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表するシナリオをベースに、地球温暖化が深刻化する世界及び、脱炭素化への移行が推進され2050年までにカーボンニュートラルが達成されるとした世界の、以下2種類の仮説を設定し、それぞれの前提条件を踏まえた2030年時点における分析評価を実施しています。
特定したリスクおよび機会
1.5℃シナリオ(一部2℃シナリオも併用)及び4℃シナリオのいずれのシナリオ下においても、中長期視点から高い戦略レジリエンスを強化していく必要があります。そのため、事業戦略や中期経営計画において、マイナスのリスクに対しては適切な回避策を策定する一方、プラスの機会に対しては、環境変化へ積極的に対応するなど、新たな成長機会の獲得を目指していきます。
具体的には、グリーン電力やガスコージェネレーションシステムの導入、食品ロス削減や食品リサイクル率の向上などを通じた環境負荷低減、エシカル消費志向の拡大を捉えたメニュー・サービス開発、異常気象の頻発を見据えた内食・中食需要への対応など、環境課題への対応を踏まえた機会の創造に積極的に取り組んでいます。
また、災害対策においても外食業界では初の「DBJBCM(事業継続管理)格付」を取得し、自然災害の発生に備えています。さらには、シナリオ分析を通してハザードリスクが大きいと特定された拠点について、現在取り組んでいる予防保全投資においてリスク回避策の織り込みを検討するなど、防災対策・事業継続対策を推進しています。





リスク管理
当社グループは、サステナビリティリスクを含む様々なリスクへの適切な対応を行うとともに、リスクが顕在化した場合の影響を極小化するための体制を構築及び維持するため、リスク管理委員会を設置しています。リスク管理委員会では、16カテゴリー・172項目のリスクをリスク管理台帳にて管理しています。サステナビリティに関するリスクに関しては、主管部門であるサステナビリティ本部が、リスク管理台帳に記載している「気候変動(地球温暖化)」「エネルギー管理と代替エネルギー」「CSRに関する戦略」「地域貢献」の4項目、並びにグループ内におけるその他のサステナビリティ関連リスクを把握し、リスク管理を行い、その現状をサステナビリティ推進委員会に報告しています。
指標と目標
① 2050年に向けた取り組み
2015年のパリ協定の採択、2021年のCOP26における1.5℃目標達成に向けた世界的な合意を踏まえ、2050年のカーボンニュートラル達成は世界的な最優先課題の一つとして捉えています。当社グループの現時点のGHG排出量は、以下の通りです。
2021年 | 2022年 | |
---|---|---|
Scope1 | 18 | 20 |
Scope2 | 62 | 63 |
合計 | 80 | 83 |
(注) GHG排出量は、省エネ法定期報告書の集計方法に則り算出しております。
2022年 | |
---|---|
Scope3 | 158 |
- (注)
-
- Scope3のGHG排出量は、当社がみずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社と共同で取り組み、同社の支援を受けて算定した現時点での概算値であります。なお算定方法の見直し、算定精度の向上などにより変動する可能性があります。
- 算定基準としては国内法対応として算定・報告・公表制度(SHK法)に基づく算定のほか、国際的な算定方法として利用されているGHGプロトコルの双方に対応する形で算定を実施しています。
- Scope3の算定対象カテゴリーは1:財・サービス、2:資本財、3:エネルギー(調達部分)、4:輸送(上流)、5:廃棄、6:出張、7:通勤、9:輸送(下流)、11:製品利用、14:フランチャイズであります。
当社グループの温室効果ガス排出量の多くは、購入した製品・サービスに伴う排出(Scope3のカテゴリー1)及び他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出(Scope2)に由来しており、当社グループの温室効果ガス排出量削減の取り組みは、低炭素由来の原材料の調達、及び再生可能エネルギー由来の電力の調達や脱炭素機器・資材の活用に重点を置くことが重要と考えています。 気候変動による影響の適切な評価と対策を通して、2050年のScope1、2カーボンニュートラル達成、及びその中間目標として2030年までに、2013年比での排出量削減46%を掲げ、温室効果ガス排出量削減活動を推進しています。
2013年以降の取り組みとしては、店舗のスクラップアンドビルド、省エネ対応機器やLED、エコ給湯・エコ清掃等の導入により、2022年のGHG排出量(Scope1、2)は2013年に比べ約25.2%削減しています。
2030年の目標達成に向けては、2024年以降の当社グループ内で行われる投資について、グループ共通サステナビリティハンドブックを活用した投資を行っていきます。これは、気候変動対応、GHG排出量削減を意識した要素を各投資において最低3要素取り入れることで、GHG排出量削減を推進します。
既存事業・既存店舗においては、前述の取り組みを意識して継続していくこと、またGHG排出量削減の指標として、セグメント別の売上高百万円当たり及び国内直営店1店舗当たりのGHG排出量(Scope1、2)を原単位とする方式を採用し、取り組みます。なお、当社グループのセグメント別の原単位当たりのGHG排出量は以下の通りです。
2013年 | 2022年 | 増減 | |
---|---|---|---|
外食事業 | 0.97 | 0.69 | △0.27 |
コントラクト事業 | 0.57 | 0.60 | 0.03 |
ホテル事業 | 1.29 | 1.03 | △0.25 |
食品事業 | 0.90 | 0.80 | △0.11 |
(注) GHG排出量は、省エネ法定期報告書の集計方法に則り算出しています。
2013年 | 2022年 | 増減 | |
---|---|---|---|
外食事業 | 125 | 97 | △28 |
コントラクト事業 | 80 | 84 | 5 |
ホテル事業 | 737 | 556 | △181 |
食品事業 | 4,099 | 4,070 | △29 |
- (注)
-
- 食品事業における店舗単位は工場単位としています
- GHG排出量は、省エネ法定期報告書の集計方法に則り算出しています。